« これぞ『因果応報』か『パックネの呪い』か | トップページ | 『南』を苦境に追い込むバイデン新政権は、日本経済の追い風になるか »

ここへきて日豪関係が一気に深まる:支那に危機感か

2020年12月01日
(ここへきて日豪関係が一気に深まる:支那に危機感か)


https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20201201-00077776-gendaibiz-pol


・〔豪・ターンブル政権〕により、〈豪州は間もなく、支那の属国になるぞ〉と私も騒いでいたのはつい3年前。豪州が急転直下〔覚醒〕しようとは、世界も思ってなかった筈だ。豪州人を覚醒させたのは、豪州政治家の腐敗である。確か〔サム・ダスチャリ上院議員〕だったか、歴史の皮肉で『殊勲甲』である。


・今や豪州は、支那の『一帯一路』に対抗する『自由で開かれたインド太平洋』を守り、維持する『日米印豪(クワッド)』の一員である。70余年前、豪州軍事の要衝であるダーウィン港を果敢に攻めた日本だが、豪州人はソレを恨まず、今〈日本と結ぶ〉ことへ好感が持てる。


・YAHOOニュース から、現代ビジネス・後瀉桂太郎氏(2等海佐/海上自衛隊幹部学校 戦略研究室教官) の記事を以下。


・「【中国への大きな危機感…ここへきて日豪関係が一気に深まる.『納得の理由』】現代ビジネス・後瀉桂太郎(2等海佐/海上自衛隊幹部学校 戦略研究室教官) 12/1(火) 7:01配信」


■「日本との関係は特別だ」

・「外務省ホームページに掲載された日豪首脳共同声明は、


〈日豪間の『特別な戦略的パートナーシップ』は、民主主義、人権、自由貿易及びルールに基づく秩序に対するコミットメントを含む共通の価値観、インド太平洋地域及びそれを超えた地域における安全、安定及び繁栄における共有された戦略的利益並びに深い経済相互補完性に基づくものであることを再確認した〉


という文言から始まります」


・「また、共同宣言では『日豪円滑化協定』に基づき、〔自衛隊〕と〔オーストラリア軍〕が共同訓練や災害救助活動等を円滑化し、〈インターオペラビリティ(相互運用性)を改善する〉ことがうたわれています。ここには自衛官による豪州国防軍の警護任務実施を含む協力体制構築にむけて調整を進展させる、という記載もみられ、オーストラリアとの防衛協力関係が日米共同に次ぐ重要で、そして具体的なものへと発展しつつあることがわかります」


・「11月13日付朝日新聞によれば、帰国後モリソン首相はコロナウィルス感染対策のため2週間公邸で自主隔離し、11月30日から開会するオーストラリア連邦議会についても当初はオンラインで参加する、とあります。記者会見において〈そこまでしてなぜ訪日するのか〉と尋ねられ、〈日本との関係は特別だ〉と述べたように、日本の政権が交代した後もすみやかに首脳間のチャンネルを維持発展し、日豪関係を進めていくための並々ならぬ意思を示した訪問であったといえるでしょう」


■中国の海洋進出に向けたメッセージ


・「オーストラリアは今世紀に入ってから <一人当たり名目GDPが2倍程度も上昇し、日本よりもはるかに高い水準> にあります。その背景としては鉄鉱石や石炭、天然ガスといった資源輸出が順調なことが大きく、また <輸出先のうち約35%は中国> に対するもので、貿易における一番の得意先なのです」


・「近年中国はオーストラリアの対中政策に強く反発して豪州産大麦や牛肉の輸入に関税あるいは制約を付す、といった施策を打ち出しており、オーストラリア経済に少なくないデメリットが生じていると考えられます。にもかかわらずオーストラリアは〈対米・対日さらにはインドを含めた4ヵ国(クアッド)協力関係を強化〉しようとしています。なぜオーストラリアは経済的なリスクを引き受けつつ、そこまで日米などとの関係発展を重視するのでしょうか?」

 
・「共同声明では両国首脳が『南シナ海に関する深刻な懸念』を表明するとともに、『現状変更と緊張を高める威圧的な試みに対する強い反対を再確認』し、さらに『係争地の軍事化、沿岸警備船および〈海上民兵〉の使用、弾道ミサイルの発射といった動きに深刻な懸念を共有した』とあります。これらの用語を見れば明らかですが、この内容は基本的に中国の海洋進出に向けたものです」


■「海と空のギャップ」


・「オーストラリアが中国を警戒する背景には、自国の主権と周辺地域の安定が中国によって脅かされているという認識があります。2017年12月、オーストラリアで野党労働党の有力上院議員が辞職しました」


・「この議員は中国の南シナ海における領有権主張を支持するような発言をし、香港の民主化運動家と豪政治家の会合を阻止しようとしていた、とされるなど、それまでの言動が問題視されていたのですが、加えて <中国当局と関係する中国人実業家から多額の献金を受け取っていた>、という事実が明らかになり、大スキャンダルとなりました。中国が経済力を使ってオーストラリアの国内政治に干渉しようとしている、とみなされたのです」


・「筆者は直後の2018年1月から3月、首都キャンベラにある豪海軍のシンクタンク『シーパワーセンター』に客員研究員として派遣されていました。滞在中、オーストラリア国営放送ABCなどでは連日この問題に加え、太平洋島嶼国やパプアニューギニアなど、オーストラリアの『裏庭』とでもいうような近隣地域でいかにチャイナマネーが浸透し、影響力を高めているか、という報道が続いていました。オーストラリアは自国の主権、他国の干渉といったものについて非常にナイーブであると感じます」


・「オーストラリア滞在中、多くの安全保障研究者や政府の担当者と対話する機会がありましたが、しばしば彼らの口から出た言葉に「海と空のギャップ』(シー・エア・ギャップ)というものがあります。オーストラリアは四周を取り巻く海域・空域によって地理的に守られている、という意味で、周囲に軍事的脅威となる大国は存在せず、東南アジア諸国や太平洋島嶼国とは海を隔てています」


・「海に囲まれている点は同じですが、中国やロシアといった大国と近接する日本とは異なる環境にある、といえるでしょう。このため、オーストラリアにとり国土が直接脅かされた経験はたった一度しかありません。<それは太平洋戦争におけるダーウィンをはじめとする空襲、あるいは特殊潜航艇のシドニー攻撃、すなわち日本軍によるもの> です」


・「太平洋戦争の経験がオーストラリアの人々にとっていかに衝撃的であったのか、はキャンベラの戦争記念館などでつぶさに知ることができます。その後オーストラリアが直接的な脅威を感じることはほとんどありませんでした。冷戦中期以降、能力を拡大したソ連海軍がベトナムのカムラン湾などを拠点に中部太平洋を行動したことがありましたが、それは一時的なものでした」


・「カムラン湾で燃料や食料を補給することはあっても、そこに作戦司令部や整備拠点など、軍事基地としての機能があったわけではありません。そして冷戦期アジアにおいて軍事戦略上の要衝はソ連戦略原潜の展開するオホーツク海、つまり極東と呼ばれる地域であり、オーストラリアから遠く離れていました」


■「2020国防戦略見直し」から見えること


・「しかし、近年中国は南シナ海を軍事拠点化し、マラッカ海峡を越えて行動するだけでなく、太平洋島嶼国の多くで政治・経済的なコミットメントを増大させています。冷戦期のオホーツク海と違い、オーストラリアのダーウィンから見ると南シナ海は目と鼻の先にあります」


・「2020年7月1日、モリソン首相は『2020国防戦略見直し』(2020 Defence Strategic Update)という戦略文書の公表に際し記者会見で


〈2020年は我々が直面する重なり合った課題と激化する不安定性に彩られた年であり、遠い昔、1930年代の不気味な雰囲気に類似している。今日、インド太平洋地域の大きな変革と脅威の増大に伴い、オーストラリアのコミットメントはより重要になる〉


と述べています」


・「中国の対外政策はオーストラリアの多くの人々にとり、太平洋戦争以来となる安全保障上の脅威認識と、経済的影響力を背景にした国家主権への介入という警戒心を引き起こしているのです。『2020国防戦略見直し』によると、オーストラリアの国防予算は2020~21年度の〔422億豪ドル〕が2029~30年度には〔737億豪ドル〕にまで増加し、この10年間トータルで〔5750億豪ドル〕に達します。<737億豪ドルという金額は1豪ドル=75円とすると約5兆5千億円となり、令和2年度の日本の防衛費に匹敵するか上回るレベル> です」


・「2019年の統計データでオーストラリアは人口比で日本の約5分の1、名目GDPで約4分の1という規模ですから、いかに国防予算に重点を置いているかがわかります。また『2020国防戦略見直し』では米中間で戦略的競争が発生しており、それはインド太平洋地域を中心にしていること、この地域における高烈度の戦争について、可能性は低いものの決してないとは言えないのであり、豪国防軍は抑止の破綻に備える必要があることが述べられています」


・「そして今後10年間の国防予算のうち海と空の領域に半分以上(52%)投資されるとされており、アタック級潜水艦、ハンター級フリゲート艦、F-35A戦闘攻撃機、EA-18G電子戦機などが含まれています。このようにオーストラリアの安全保障・防衛政策は具体的かつ大規模な予算や投資を伴う、非常に強い決意となって表れているといえます」


■現在とこれからの盟友として
.

・「こうした方向性には不安材料もあります。コスト的な問題などから2017年10月にトヨタ、GMホールデンが相次いでオーストラリア国内における自動車生産を終了し、現在自動車はすべて輸入に依存しています。オーストラリアのIT・情報通信技術などは先進的水準にあると考えられますが、重工業生産技術とインフラは今後の国防能力強化に対し、決して十分なレベルにあるとはいえません。このため、『2020国防戦略見直し』でもインフラ投資は非常に重視されています」


・「また、いうまでもなく中国との経済・貿易を完全に無視することはできません。こうした課題とバランスをとりつつ、戦略的利益と価値や規範といったものをどうやって守っていくのか、ということになります。<70数年前、オーストラリアにとり最大の脅威を与えた日本は、今やオーストラリアにとりかけがえのない盟友となっています>。そして日本からみてもそれは同様で、今後その重要性はますます増していくのだと思われます」・・・


《2020年11月17日、来日中のスコット・モリソン豪首相と菅総理の首脳会談》

Photo_20201201124901

« これぞ『因果応報』か『パックネの呪い』か | トップページ | 『南』を苦境に追い込むバイデン新政権は、日本経済の追い風になるか »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« これぞ『因果応報』か『パックネの呪い』か | トップページ | 『南』を苦境に追い込むバイデン新政権は、日本経済の追い風になるか »

最近のトラックバック

2021年1月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ
フォト