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たけし氏の長談義:結構〔世相〕を見ている

2020年08月06日
(たけし氏の長談義:結構〔世相〕を見ている)


https://news.livedoor.com/topics/detail/18675181/


・ヒラリヒラリと私の持論と重なる〔北野武氏〕(ビートたけし)の語りなので、昨日だったかご紹介しようと思ったが意外に長く、躊躇って今日になった。(インタビューは本年6月)


・老眼が進んでから、寝る前の至福のひと時(読書)が無くなってしまったが、北野武氏著・【不良】は読んでみたいなぁ。ヒーローでも何でもない出来ん坊主だったが、高校を出てから『組のパシリ』になって抗争で呆気なく死んだ中3の頃の私のダチのことを時々思い出すからだ。


・ライブドアトピックス から、婦人公論 の記事を以下。


・「【北野武『ヤワな優しさを捨て、野性を取り戻せ。国の理不尽に本気で怒るのも〈新しい生活様式〉』】婦人公論.jp 2020年8月3日 12時0分


・「『今回のコロナは長引くから、笑いも必然的に変化するね。寂しいなんて言ってらんない。これも自然淘汰かもしれないし』・・・お笑いタレントとしてだけでなく、映画監督、作家など幅広く活躍する〔北野武さん〕。新型コロナウイルスの流行により、お笑いや芸術に対する考えに変化が訪れたようです。


■「いつから『優しさ』ってことに世間は価値を見出しちゃったんだろう。浮かれるにはまだ早い」


・〈今年も半分過ぎたけど、もうコロナ一色で塗り込められちゃった印象だよね。今まであんなに警  戒しまくってたくせに、緊急事態宣言を解除したら「日本モデルが成功」「経済を回そう」なん  て浮かれてるじゃない〉


・〈でもワクチンが開発されて世界中に行き渡ったわけでもないし、今だって南アメリカやアフリカ  で感染拡大が進んでるわけで。ブラジルなんて貧困層が何万人も犠牲になってる。世界中、誰か  がコロナで死んでるんだもの。それで喜んでちゃマズいよ。元気な時は「グローバル」とか威張  っててさ、いざ危機になったらテメエのことしか考えてないじゃない〉


・〈今、中小企業や自営業者、非正規労働者、フリーランスが困ってるよな。じゃんじゃんカネを投  入すべきなのに、国は「ビタ一文出すもんか」って顔をしてる。だから俺としては、小康を得て  るだけの日本の現状なんか素直に喜べないんですよ〉


・〈だってね、〔志村けんさん〕を助けるために最先端の医療を施したはずでしょ? なのに手に負  えず、志村さんは亡くなってしまった。俺があのニュースでこたえたのは、「人類はまだ新型ウ  イルスに敵わない」という事実なの〉


・〈歴史をひもとけば、人類は疫病による滅亡の危機を乗り越えて生き延びてきたってことがわかる  。ペストやスペイン風邪も長らく人を脅かしていたわけでさ。狂犬病なんかも撲滅に至ってない  。それら病気の流行期には、これで人類も終わりかってくらいに犠牲を出した。コロナだってま  だ健在で、これからどういう脅威になるか不確定要素が多い。だから、みんな油断して浮かれて  ちゃダメだと思うんだ〉


■変わるお笑いのあり方


・〈テレビや映画、小説までいろいろな仕事をやってきた俺が感じるのは、「ウィズ・コロナ」なん  て気軽に言えないということ。世界を変えてしまうような病気が存在するって緊張感があるから  ね。芸術は素晴らしいと言うけど、今回、何にも増して生命というものがどんなに価値があるの  かってことを考えさせられた。俺が夜中に小説を書き、絵を描いてる間に亡くなってる人がいる  、と考えるとやりきれなくなったものね〉


・〈俺がテレビをリモート出演に切り替えたのは、自分が罹るのはしょうがないけれど、他人に伝染  してしまうのがつらいからなの。PCR検査だって、感染が濃厚に疑われて症状が進んでいないとで  きない。抗体や抗原検査もすぐに受けられるわけではないでしょ。それを待ってたんでは、始ま  らないじゃない。だったら「自分は陽性なんだ」という前提で生きていこうと考えたんです〉


・〈だけど、世の中はどうも逆で、「俺は大丈夫」というやつが多いんだよね。人間は大変な時には  己の都合のいい意見に飛びつくって聞いてたけど、本当にそうだった。それも嫌になっちゃうこ  とだったかな〉


・〈これも仕方がないと諦めてるけど、リモートってのはやりづらいね。どこに目をやればいいかわ  かんないしさ。客や共演者、スタッフの反応を見て演じる仕事なんで、ウケてるかどうか判断で  きないから困る。それにディレイ(遅れ)が生じてリアクションがズレちゃうから、演(や)っ  てて歯がゆいんですよ〉


・〈今回のコロナは長引くから、笑いも必然的に変化するね。漫才もテレビで見てると相方との距離  は取るわ、間にアクリル板を置いておくわで大変じゃない。おまけにリモートで無観客だったり  、ライブを演ったとしても客はまばらに座らせたりするでしょ〉


・〈掛け合いの面白さは漫才師の距離感によって生まれる芸。おまけにツッコミは客の反応を瞬時に  つかまえてやる技なわけ。だから今、漫才はいわば手足をもがれた形になってるの。そうなると  もう、二人で演る芸は難しい。必然的にアメリカ形式の、一人で漫談を披露するスタンダップコ  メディに流れていくと思う〉


・〈アメリカのコメディ映画のスター、〔ローレル&ハーディ〕や〔アボット&コステロ〕が喜ばれ  たのは、禁酒法や戦争の余波で劇場の入りが減ってしまい、映画で魅せるコンビ芸以外、成り立  たなくなったから。時代背景によって求められる笑いの形式も変化する。60年代後半には〔レニ  ー・ブルース〕って毒舌家が全米で人気だったしね〉


・〈日本で俺らが「ツービート」で漫才を演ってる時代には、〔トム・ハンクス〕や〔エディ・マー  フィ〕なんかがピン芸人としてライブで喋って人気を得ていたの。きっと日本もそういう流れに  なってくるよ。寂しいなんて言ってらんない。これも自然淘汰かもしれないし〉


■リーダーに求めるものは


・〈この雑誌が出る頃には都知事選の結果も出ていると思うけれど〔編集部注:取材は2020年6月〕、  コロナの間の〔小池(百合子)さん〕はまったくダメだった。まず、東京オリンピック開催延期  が決まるまで、都民に「大丈夫だ」ってばかり言ってたじゃない。で、あの若い(鈴木直道)北  海道知事が緊急事態を宣言して、流行の危機だとか専門家会議や政府が口にし、オリンピック延  期が決まったら、「危ない」って言い出した。それは掌返しがすごすぎるだろって(笑)〉


・〈昔の「ナンセンストリオ」のコントじゃねえんだからさ。「赤上げて、白下げて、白上げないで  赤下げる」って演ってたやつ。政治でやられちゃたまらないよ。それにあの柄付きマスクや“三  密”ってフレーズ、そういうことで目立とうとしてどうするんだろうね〉


・〈ドイツの〔メルケルさん〕とかニュージーランドの〔アーダーンさん〕たちはコロナ感染拡大の  説明と対策がしっかりしてた。言葉には行動力が伴うべきってのを教えてくれたね。ま、フィリ  ピンの大川栄策さん……じゃなかった(笑)、〔ドゥテルテ大統領〕みたいに「隔離措置に違反  したら射殺するぞ」っていう言行一致はおっかないけどさ。ブラジルの大統領、〔ボルソナーロ  〕はひどいけどね。「人間はいつか死ぬもんだ」って、お前は休みに豪遊してるじゃねえかって  。(笑)〉


・〈日本の政治家もよその国を笑ってられないよ。小池都知事だけでなく〔安倍(晋三)首相〕や大  臣、与野党議員も揃ってひどい。マヌケの集まりに見えたもん。国民全員から消費税を巻き上げ  ておいて、あんなケチくさいマスク配ってる。笑っちゃうのは安倍さん以外、与党の誰もアレつ  けないんだよ(笑)。そんなのに466億円出すんなら、生活困窮者に小切手でも送ればいいのにさ  。人種差別抗議デモに軍隊を呼ぼうとしたトランプ(大統領)ですら、小切手配布したんだよ〉


・〈野党も必死で闘えよと思ったね。緊急事態宣言を解除してもまだ内閣は倒れないし、みんなでの  ん気にやってる。第二波に備えて自粛要請したらどう商売をやっていけばいいのかとか、残業し  てでも委員会でガイドラインを決めておくべきなのに働かないんだもん。ほかの国だったら暴動  だよ。なんてお行儀のいい、優しさに満ちた国民に恵まれたんだと、政治家は手を合わせて感謝  しろよって思うね〉


■「新しい生活様式」とは何か


・〈しかし、「新しい生活様式を」なんて、いきなり国に言われてもね。それを言ってるのがイヤイ  ヤ人助けするような連中だから、「まず、お前らがやってみせろよ」としか言いようがない。逆  に国民が国の理不尽に本気で怒ってみるのも、「新しい生活様式」なのかもしれないね。だって  、優しすぎるもの〉


・〈いつから「優しさ」ってことに世間は価値を見出しちゃったんだろうね。本来なら優しさは素っ  気なく見せるもんだったはず。今じゃ「ほら、親切だろ」って押しつけてみせるじゃない。みっ  ともないよ。優しいってのは、本当に思う相手へ厳しく接することもあるんで、わかりにくいん  だ。これみよがしの優しさに心動かされることを「ヤワになった」と思わないんじゃ、ダメだね  〉


・〈俺は、感性から変えないと「新しい生活様式」とは言えないと思ってる。リモートだのステイホ  ームだのは格好だけで、本質は変わらないんだもの。俺が最近思うのは、「野生」の感性っても  のが日本からなくなりつつあるということ。新しく出した『不良』って小説で伝えたいことの一  つは、その「野性」についてなのかもしれない〉


・〈作品に出てくるキーちゃんはワル。ジャングルの野獣みたいに、自分の知恵と力でトップを取る  ためなら殺し合いを望むタイプで、中学の入学式でいきなりケンカをふっかける。そういう「野  性」を持ってる人間は馴れ合いばっかの社会から疎外されるよね。それを総じて市民社会が「不  良」と呼ぶわけで……〉


・〈そんな「野性」を持ったキーちゃんにはモデルがいるんですよ。俺が通ってた足立区立第四中に  いた、今では絶対に出会えないタイプの男でさ。ただケンカが強いだけじゃない。野球ならイチ  ローとか大谷翔平、ボクシングならモハメド・アリみたいなクラスなんだよ。彼を見た瞬間に、  伝説のアスリートを間近で見る思いがした。俺がどんなに頑張っても敵わないやつ。だけど、彼  は俺が大学生の頃にあっけなく死んじゃった。それからずっと、キーちゃんを描きたいと考えて  きた〉


■バカはズルより数段エラい


・〈小説のキーちゃんは何にも縛られない少年時代なら輝いてるわけだけど、いざ大人社会に放り込  まれると浮いちゃう。野獣には居場所がないんだ。それが力では絶対的に食物連鎖のトップに立  てるはずの、アウトローのヤクザ社会であろうとね。ヤクザの世界には掟があり、裏切りがある  。キーちゃんは考える前に飛んじゃうタイプだから、長生きできないとハナから周りも知ってる  わけ〉


・〈パッと死ぬのが彼だけならいいけど、語り手の「俺」や仲間の連中はキーちゃんに憧れてヤクザ  になっちゃう。憧れで道を誤るってことは実人生にもあるよね。俺だってキーちゃんを慕ってヤ  クザになってたかもしれないもの。でも、凡才は天才にはなれない〉


・〈それと同じで、小説の中のバカは、なれるはずのないキーちゃんのマネをして死ぬ目に遭うんだ  。でもね、バカはバカなりに純粋で、ズルく立ち回るより数段エラいと思うわけ。現代社会なん  て小器用な連中が得をするだけ。バカがなけなしの「野性」を使って人生を爆発させるのは、自  滅的だけど、今必要な感性なんじゃないかな〉


・〈小説を書くって、頭に浮かんだ場面を字にしていく作業。会話や描写に困ってウンウン唸って書  いてる。つらいけれど、夜中から朝まで夢中で続けてしまうんですよ。書き上がった小説はうま  くない。でもそれでいい。すごく読みにくくても、必死で書いてる俺の熱量が行間から伝わって  くれるなら、そのほうがありがたいものね〉


・〈絵も映画も小説もうまくなりたくないっていう大もとは、俺が芸人で、いまだに舞台に立つ前に  「ネタは大丈夫か。ウケるかな」ってなことで震えちゃうのと繋がってるのかもね。俺にとって  の「新しくもない生活様式」は緊張感を失わずに生きること。ま、そんな感じでヨロシク。(笑)〉・・・


《北野武氏著:【不良】》

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