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([正論]21世紀の『闘技場』生き抜くには)

2019年10月10日
([正論]21世紀の『闘技場』生き抜くには)


https://special.sankei.com/f/seiron/article/20191010/0001.html


・外資に14年間勤務したので、常に『アイデンティティー議論』とは隣り合わせだった。おずおずと辞書をひけば〈同一性〉という突慳貪(つっけんどん)な答え。今なら〈ジェンダー〉と紛らわしい。


・在る時、日本語の〈一貫性〉の類語ではないか?と気付いた。今のネット辞書では丁寧に、「『アイデンティティ』=主体性 ・ 自我 ・自意識・ 自己存在 ・自己一貫性 ・ 自己同一性」とある。


・『グローバル』については、「世界的な規模であるさま。また、全体を覆うさま。包括的」とするネット辞書に異論は無い。これをベースに、〔村田晃嗣・同志社大学教授〕の[正論]をお読みくだされ。


・産経スペシャル・[正論] から、記事を以下。


・「【[正論]21世紀の『闘技場』生き抜くには  同志社大学教授・村田晃嗣】産経スペシャル 2019.10.10」


・「国際社会はとどのつまり、個人、集団、地域、国家、超国家組織がそれぞれにアイデンティティを模索する闘技場(アリーナ)」と、1980(昭和55)年に出版された『アイデンティティの国際政治学』(東京大学出版会)の中で〔故馬場伸也氏〕(津田塾大学教授=当時)は喝破していた」


・「移民問題などはその好例であろう。そこで今日の内外情勢から3つの事例を取り上げ、アイデンティティーという観点から再考してみよう」


≪日韓関係が抱える難問≫


・「第一は、日韓関係である。この数カ月間、両国関係は悪化の一途をたどってきた。〈韓国は国際的約束を守らない〉と日本は批判し、〈日本は傲慢で歴史を反省していない〉と韓国は非難する」


・「三権分立を盾にいわゆる『徴用工問題』を悪化させた〔文在寅政権の対応〕は行政府(三権の一つ)として無責任だし、『軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄』に至っては、北東アジアの安全保障環境に対する自傷行為である」


・「よりマクロにいうと、韓国は日本や米国とともに『海洋国家』としての歩みを続けるのかそれとも、中国やロシアにくみして『大陸国家』として進み出すのかが問われている。これは地政学的選択であると同時にアイデンティティーの問題でもある」

・「だが日韓関係は日本にもアイデンティティーの問題を突きつけている。1965年に『日韓基本条約』が締結されたとき、日本の経済力は韓国のそれをはるかに上回っていた。しかも、韓国は軍事政権下にあった。それ故、不本意な条約を強いられたのだと信じる韓国人は少なくない」


・「占領下で米国に不本意な憲法を押し付けられたという、日本の一部の議論と似ていよう。今日では日韓の力の格差ははるかに縮まっている。法律的な筋論を堅持しながらも日本はこうした力関係の変化を柔軟に受け入れていると示すべきである。それでも文政権の態度は変わるまいが、国際世論の多くと韓国世論の一部に働きかけることはできよう」


≪独善的な憲法解釈の矛盾≫


・「第二に、憲法問題である。数カ月前に、日本弁護士連合会は同性婚を認めるように法令の改正を求め、現状では法の下の平等が侵害されていると説いた。だが、憲法24条は、『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有する』と規定している。この条文の下でも同性婚が可能だと、法律家や憲法学者の一部が主張しているのである」


・「だが4年前の平和・安保法制の際には、彼らは憲法9条の下で集団的自衛権の行使は不可能であり違憲だと論じていた。24条が同性婚を想定していないだけだというなら、9条も敗戦直後の日本が集団的自衛権を行使すると想定していなかっただけではないか」


・「条文を厳格に読み込むのなら〈9条で集団的自衛権行使を認める〉よりも、〈24条で同性婚を認める〉ほうが困難なのではあるまいか」


・「一歩誤ると、学問や法律論というより自分たちのみが憲法を有権解釈できるという、業界の既得権益、つまり業界アイデンティティーの話になりかねない。平和・安保法制に反対した野党も同性婚に賛成というなら、24条と同性婚の関係について憲法審査会で堂々と議論してもらいたい」


・「当然その折にはジェンダーや医学など多様な分野の意見を聞かなければならない。憲法学者だけで憲法解釈を決めることなどできないのである」


≪排他的でなく重層性認識を≫


・「最後に、大学のグローバル化である。2014年に文部科学省はスーパーグローバル大学なるものを選定した。大学の世界ランキングの上位100位に、日本の大学が10年以内に少なくとも10校は入るようにするというのが、政府の方針である」


・「あれから5年がたった。タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの世界大学ランキングで100位に入るのは『東京大学』と『京都大学』の2校のままで、むしろ101位から200位の大学数はゼロになった。巨額の血税が投入されているので、選定した側もされた側もしっかりと中間の検証をしてほしい」


・「そもそも、『グローバル人材』とは何か。政府の有識者会議による定義の中には、『異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー』とある。だが、日本の大学が育成する『グローバル人材』は何も日本人だけとは限らない。現に、政府は外国人留学生の数を増やすよう奨励している」


・「『日本人としてのアイデンティティー』を求めるのは、『グローバル人材』の対象は日本人だけというグローバルとはほど遠い発想による。政府の文書では、しばしばグローバル化と国際化の区別すらついていない」


・「日本の大学が真にグローバル化するには、文化や宗教、地域、性別、職業、年齢など、アイデンティティーのもつ重層性を認識しなければならない。排他的・身勝手な自己主張とアイデンティティーは異なると、故馬場教授は指摘している」


・「アイデンティティーは他者との関係性に規定され、多様かつ重層的である。そのことを忘れては、21世紀の『闘技場』で生き抜くことはできない。(むらた こうじ)」・・・

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