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後味の悪い〔山中慎介〕選手のラストマッチ

2018年03月02日
(後味の悪い〔山中慎介〕選手のラストマッチ)


http://news.livedoor.com/topics/detail/14374986/


・私は58歳・107kgで『がん』になったが、その後も一旦「人と怪物の境界線」だと思える100kgは、中々切れなかった。加齢と貧乏のお陰か、ようやく現在は94kgを行ったり来たりしている。


・よく行くカラオケ屋のマスター(70歳)は、46kgである。彼を『ミニマム級』とすれば、私は『ヘビー級』である。間違って私が、マスターの顔面にストレートでも放ったら、即死となって、私は警察に御用!となるだろう。


・ま、極端な例だが、昨日の〔山中慎介〕選手のラストマッチも、似たような話だ。前王者は故意と思える体重オーバーで、何と『バンタム級』から4階級も上の『ライト級』の体重だったのだ。


・平昌五輪も欧米のテレビ放映の時間帯に合わせ、ジャンプ選手を山風が吹き荒れる深夜に飛ばしていたが、大怪我や死者が出なかったのがせめてもの幸いだった。この〔ネリ〕Vs.〔山中〕戦も「興行優先」でやらせたが、実に後味の悪いものとなった。


・体重別が厳しく守られてこその「殴り合い」なのだ。敗れた〔山中慎介〕選手に、後遺症が出なければいいが??


・ライブドアトピックスから、THE PAGE の記事を以下。


・「【4階級上の体重だった〔ネリ〕の暴挙に汚された元名王者〔山中慎介〕のラストマッチ】
THE PAGE 2018年3月2日 5時32分」


・「WBC世界バンタム級タイトルマッチが1日、両国国技館で行われ、同級1位の〔山中慎介〕(35、帝拳)が、計量失格で王座を剥奪された前王者の〔ルイス・ネリ〕(23、メキシコ)に計4度のダウンを奪われ、2回1分3秒TKO負けした」


・「WBCの世界タイトルは空位となった。体重差の影響で威力の増したネリのパンチは、まるで“体重ドーピング”。当日の体重は4階級上のライト級だった。問題視する声が、あちこちから出てきたが、ダイレクトリマッチに失敗した山中は『これが最後。終わりです』と現役引退を表明した。山中のプロ通算戦績は27勝(19KO)2敗2分」


・「JBC(日本ボクシングコミッション)の〔秋山弘志理事長〕がコミッショナー宣言を読み上げ、前日計量で〔ネリ〕の体重超過により王座が剥奪されたことを伝えると、8500人で埋まった両国国技館に大ブーイングが鳴り響いた。長らくボクシングの会場をうろついているが、こんなブーイングは聞いたことがない」
  

・「リングアナによる〔ネリ〕のコールが行われると再びブーイング。会場は〔山中〕の気持ちを踏みにじりボクシングを冒涜する行為をしたネリへの怒りと、山中のリベンジを後押しするエールで満ちていた」


・「山中は天井を見上げ客席をぐるっと見渡した。このシーンを目に焼き付けておこうとしているかのように。 米で最も権威のあるボクシングメディア『リング』誌が認定したバンタム級のベルトが掲げられると、割れんばかりの歓声が巻きおこった。両国国技館はひとつだった」


・「ゴングが鳴る。 前へプレッシャーをかけて右のジャブから。神と呼ばれた左につなげるパンチだ。左ボディも散らす。ネリは、どちらかというと警戒心が強かった。山中の左に対するデイフェンスにだけ意識があった」


・「『もっと、がんがんくると思っていたが、山中の恐怖心が見えた。前回KOしたことが、山中によみがえったのだろう。だから、ためらいもなく容赦なくパンチを打ち続けた』 そういうネリが1分半過ぎに攻撃に転じた」


・「左右のボディからハリケーンのようなラッシュ。そして右のジャブが絶好のカウンターブローになって山中のあごをとらえた。膝をついた。レフェリーはスリップダウンと判断したが、山中は、この一撃で壊された」

 
・「帝拳の〔浜田剛史代表〕は、このシーンを振り返って『出だしは良かった。この流れで、と思った矢先、普段なら、山中が効かないパンチ、ジャブのカウンター、あれが効いてしまった』と言った。 明らかに、それはバンタム級のボクサーの威力ではなかった。少なくとも、198日前のネリのパンチ力とは違っていた」


・「1.3キロの体重超過で失格となり、この日、正午に行われた当日計量は57.5キロ。前日に設けられた58.0キロのリミットは守ったが、計量失格後、食事を極力控えていただけのことで、その後、胃袋を満たし試合時には、60.1キロまで増量していた」


・「軽量級の増量は、通常リミットのプラス4.5キロとされている。だが、ネリは53.5キロのリミットからプラス6.5キロ。ちなみに60.1キロは、バンタム、スーパーバンタム、フェザー、スーパーフェザーの上になるライト級(61.23キロ)の体重である。4階級も上だ」
 

・「山中の異変に気づいたネリは、かさにかかって攻めてきた。左フックをまともに食らってダウン。山中は立ち上がったが、ラウンド終了後、戻るコーナーを一瞬、敵側と間違えた。それほどダメージが大きかったのだ」


・「2ラウンドは、もう残酷なショーだった。振り回してきた左フックに尻餅をついた。立ち上がったが、また右のジャブをもらってダウン。『OK! OK!』。リングサイドにまで聞こえる大きな声で山中はレフェリーに試合続行をアピールしたが、右フックで仰向けになってキャンバスに寝転がるとTKOが宣告された」

 
・「ネリがコーナーに上がって歓喜の雄叫びを上げたが、場内は再びブーイング。


『二度と日本に来るな!』
『次は井上尚弥とやって倒されろ!』


激しい野次が飛んだ。そして慎介コールが波のように両国国技館を包んだ。 わずか243秒で、山中とファンのネリへの雪辱の夢は打ち砕かれた。だが、山中がリングを降りるまで誰も席を立たなかった」


・「“汚れた反則野郎”を相手に勇敢に戦った“ゴッドレフト”への拍手がやまない。まるでカーテンコールのように。ネリは、倒れた山中に抱きついてきたが、そこにいつものノーサイドはなかった。山中は憮然とした顔で睨んだままだった」


・「体重に応じた階級制のスポーツで、こんなやり方がまかり通っていいものか。 しかも、昨年8月の試合では、禁止薬物の使用疑惑まで起こしているのである。 ジムの後輩であり、南京都高校(現・京都廣学館高)の後輩でもあるWBAミドル級王者、〔村田諒太〕は『僕でも相手が(計量オーバーして)75キロでくるならやりたくないですよ。でも興行を潰せないので逃げられません。その中で戦う男と体重オーバーで勝っている男とどちらがかっこいいですか。ボクサーだからわかる恐怖に負けずに戦った山中さんはかっこいいと思う』と、すべての人の怒りを代弁した」

 
・「かつて山中と語り継がれる日本タイトルマッチを戦ったIBF世界Sバンタム級王者の〔岩佐亮佑〕(セレス)も初防衛を終えた後に涙ぐみながら『あれだけの失態をして勝って喜んでいる。あいつ、どんな神経してんだ? ボクサーの中で一番尊敬できない。ボクシング界から去って欲しい』と、ネリに怒りをぶつけた」

 
・「控え室で山中は何度も涙した。 ファンへの感謝、家族への感謝。連続防衛の日本記録をドーピング疑惑のネリにストップされた失意のTKO負けから、再起を決め、このリングに向かった自分を『誇りに思う』と言った」


・「だが、ネリの計量失格だけは許せない。 『試合だけに関してはただ僕より強かった。でもルールがある。人として失格。いらつきは納まらない。これからは、ちゃんとして欲しいし、ボクシング界全体で(計量失格に対して)もっと厳しくして欲しい』」


・「ネリのパンチ力は『効くパンチは見えない。それをもらって慌てた部分もあるが、3回倒れているんで。パンチは、以前より(あるように)感じた』という。 それは、ネリが体重超過してきた影響か、と聞くと、極力オブラートに包んで、こう答えた。 『まったくないとは言えない。だからこそ、ボクシング界全体のルールを団体関係なくしっかりと統一して厳しくしないとファンも納得いかない』」
 

・「山中の当日の体重は、59.2キロ。頬がこけギリギリに絞ってからの増量と減量に苦しまない増量では、回復度が違ってくる。ネリは、計量当日に計1.7キロを落としたが、本気で減量してきたボクサーは、この段階では、数百グラム単位でしか落ちないもの。栄養士に責任をなすりつけていたが、やはり確信犯だったのだ」

 
・「まるで合法の“体重ドーピング”である。 試合後、ネリは、『初めて使った減量方法がうまくいかなかった。ファン、山中には申し訳ないことをした』と、計量失格したことを謝罪した後に、『俺は昨日の夜から当日計量のある今日の12時まで食事ができなかった。一回でパスした山中は十分に回復させてきた。フィジカルのメリットは山中にあった』と言った」


・「いったい、どの口から、こんなことが言えるのだろう。おまけに『今後もバンタムで戦う。また日本に来たい。再び王者になる自信がある』とまでのたまう。 浜田代表は、王者ネリの計量失格が、山中に与えた精神的影響を悔やむ。 『この試合にかけてモチベーションは最高だったが、計量でああいうことがあり、急に緊張とモチベーションが逆の方向へ行ってしまった。24時間で戻ると思っていたが……あれがなかったらと思う』」


・「山中は否定したが、怒りの感情が体を前へ前へと押し出し、冷静に得意の距離から“神の左”を打ち込むことができなかったのかもしれない。 ファンも関係者も納得のいかない“汚された敗戦”である」


・「山中もメッセージを投げかけたが、ネリのような確信犯的な計量失格選手を、今後、出さないためのルール作りは必要である。本田明彦会長は、『計量失格に対するペナルティが出場停止6か月から9か月しかないのはどうか、という話をWBCともしている。もっとルール化をしっかりすべきだろう』という」


・「村田諒太は、『計量失格で興行ができないなら民事訴訟を起こせるなどのシステムを考えないと』という意見。国内の世界戦を統括するJBCも含めて、計量失格選手に対する厳罰化を進めなければ、また“第二のネリ”が出てくるのかもしれない。体重差があまりに大きいと事故に発展する危険性さえあるのだ」


・「山中は、それ以上、何も言わなかった。実に、さわやかに。 『自分が打たれ弱かった。倒れすぎた。万全で仕上げてこれたし、いい状態でリングに上がった。前回よりは、正直、試合だけに関して言うと、こうすれば良かったという悔いはない。早いラウンド(でのTKO負け)ではありましたが、まあ、納得はしていますよ』」


・「そして現役引退を表明した。『これが最後ですよ、これで終わりですよ』 この試合が、ラストマッチのつもりでリングに上がったのか? 『今後については、まったく考えないようにしていました。考えると実力が落ちる気がして。それが嫌だったんで。はっきりと(最後だと)決める感じではなかった。何も考えずにきました』」
 

・「帝拳は実績のあるアマエリートには特別待遇を与えるが、山中はスカウトされたわけでもなく一般のプロ志望者として入門した。名門、南京都高校出身だが、専修大時代は、2部リーグ。異色の存在だった」


・「『デビュー戦で買ってくれたチケットは20枚だった』。食えない時代は、アパートの電気代が払えず、電気を止められたことまであった。だが、山中には、南京都高校時代に、〔故・武元前川〕先生に、サウスポースタイルに変えられ、中学時代の野球部で鍛えた強靭な足腰から生み出す“神の左”があった」


・「『素質はなかったが、努力をしてきた。そして山中の素晴らしさは人間性だ。普通、チャンピオンになって防衛を重ねると飽きられてくるもののだが、山中は逆だった。試合をする度に、後援会も人も増えてきた。人格が人を呼ぶんだ』 本田明彦会長は、そう言って〔具志堅用高〕氏の記録に迫る12度防衛を果たし、ボクシング史に名を残したチャンピオンを称えた。この日、故郷の滋賀から来た応援団は、2000人を超えていた」


・「実は、前日、山中が2010年に初タイトルとなる日本バンタム級王座を奪った対戦相手だった〔安田幹男〕氏が大阪に焼き鳥屋をオープンした。山中は、そこにお祝いの花を贈っていた。山中が愛される理由がよくわかった」


・「会見の最後、スポーツ紙の記者が質問をした。『あなたにとって神と呼ばれた左は何だったのか』と。『最後まで一番頼りにしていた、一番の武器だった。不発に終わったが、何年経っても“パパの左は強かったんだ”と、子供達に言えるパンチだった』 なんだか、泣けてきた。(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)


《試合後引退を表明した山中はファンの歓声に涙した(写真・山口裕朗)》


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