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【営業マン夜戦記】12.《戯れせむとや:大阪で》

2017年02月13日

(【営業マン夜戦記】12.《戯れせむとや:大阪で》)


・私の悪戯好きは〈病的〉とも言えるもので、小中学校では児童会長・生徒会長を歴任して来たが、廊下に立たされていた回数も群を抜いていた。中学卒業式も高校受験も迫った大雪の日、コの字型に木造2階建校舎が立ち並ぶ中庭の対角線中心点に、1時間ほど直立不動で立たされていたのはあまりに見事に担任をハメて、発狂激怒した担任に“さらし者”にされたせいである。


・しかしこの他人迷惑な趣味は改まるどころか年を追って磨きがかかり、スーパーバイザー(前線営業課長)として大阪へ赴任した20代の末期あたりは、正に“疾風枯葉を巻く”勢いだった。

・悪戯のヒントはどこにでも有る。その日タバコを買いに1階まで降りて、「面倒だから6個ばかり買いだめするべ」 と自販機からガチャガチャ買って両手に3個ずつ持ちエレベーターで上がりながらフと思い付いた。


・「おい!下のタバコの自販機壊れてやがってホラ、1個分金入れたらドカドカと6個だぜ!ヒッヒッヒ!」・・・タムシ模様のチョッキ着た岩田も大口の鈴木も死んだ倉富も、一瞬真顔になった後、無言でダッと飛び出して行った。関西人の脇の甘さを確かめた赴任後間もない〈ご挨拶代わり〉の一発だった。

・赴任直後の繁多な事務処理で、先輩総務氏の机の前から名古屋に長電話。丁度電話が終わり受話器を置いたタイミングで、私の腕の、当時発売されたばかりで珍しい〔セイコーデジタルウオッチ〕のアラームが「ピピピッピピピッ」と鳴った。


・何かのセットだったのだが先輩総務氏がビクッと驚いた顔が面白くて、アラームを止めながら思わず腕時計を口に持って行き「ハイッ、了解しました」と大声で言い、ボタン操作して〔めざまし〕の6:20の表示をチラリと見せて「通話料金は620円かぁ」と呟いてみせた。


・先輩総務氏興味津々で「何でその通信機は大阪からだと解るんやろ?」「あぁ、通信機が座標持ってますし」「??でも、名古屋に電話架けたと何で??」「だって俺、名古屋から来ましたし」「??????」・・・口開けてる先輩総務氏見ながら、案外関西人もイケルな!とニコリともせずに自信を深めた二発目だった。

・今から45,6年前、そろそろオフコンの前身機が顔を出してはいたが、私が預った〔海軍兵学校〕的〈システム・トレーニー部隊〉が扱えるのは加減2則の記帳式会計機だけだった。


・その日ベタ足で訪問件数がいつも最下位の死んだ黒木が、みんな出掛けた部屋で一人、相変わらずモタモタと内勤していた。私は支社内の人事部出先機関の空き部屋(悪戯電話の拠点!)から私のグループ部屋の電話を鳴らした。


・「はい、☆☆☆☆☆☆でございます」と黒木。「あのねぇ、尼崎の西川会計やけど青木さんおる?」と高音で私。「あ、青木は二人おりますがどちらが担当でしょうか?」「ン?ウマや。ナントカ馬之丞いう仇名の、ほれ、顔の長い!」「あ、坂東馬之丞ですね、青木信明です」


・「そうそう、おる?」「出掛けましたが」「じゃあんたから責任者に言うてや。青木さんから買うた会計機の第4レバーに〈伝票発行〉のプログラム組んでもろたんやけど、〈数量〉入れて〈単価〉入れて、もう1時簡以上待っとるんやけど答が出んでぇ!どないなっとるんや返答せい言うてや!ほな」 ガチャン!

・コッソリ人事の部屋から出て口笛をピューと吹きながら通路を歩いて行くと、泡食った黒木が「バイザー!バイザー!」と私に駆け寄って来て、「バイザー、馬之丞は馬鹿とですよ!足し算と引き算だけの会計機に、掛け算のプログラム組んだとですよ!」「・・・西川会計さんからだろ?尼崎の」「そうそう!・・・え?何で知って?ハァ?」 暫し沈黙の後、「黒木よ、お前は友を売るんか!?」 哀れな黒木は滅多打ち。

・言い忘れたが私、〈声帯模写〉と〈形態模写〉の達者。或る雨の午後、支社内の情報処理機器を扱うエリート部隊はみんな出払って、△△君(今は経営コンサルタント氏)だけが熱心に内勤作業に没頭している。彼がエリートの証拠には、机上に直通の黒電話まで置かれている。


・何気なく会話を仕掛け素早く黒電話の番号をチェックの後、私は例の人事の空き部屋へ。見える!見える!外資系の会社は間仕切りに透明ガラスを多用していたので、△△君の後姿が手に取るように見える!ダイアルRuRuRU・・・「はい、☆☆☆☆☆☆の△△です!」「あ、△△君?鈴木です」「え?鈴木さんて仰いますと?」「冷たいなぁ、人は落ち目になりたくないもんだ、ガバメントチャネルの鈴木です」「あ、あぁ失礼!失礼致しました、△△です!」・・・

・こうなりゃこっちのもの。創業時入社で一時は名古屋ブランチマネージャーとして飛ぶ鳥を落とす勢い、後失速して官庁ルート開拓という冷飯を食わされてその後早世した大物氏にナリキッて、△△君の、“ガバメントチャネルへのスカウト話”を延々20分ばかり。もう思い込んでしまっている△△君は毛の先ほどの疑念も持たず笑ったり声を潜めたり汗かいたり、後姿でタップリ楽しませてくれた。

・いつものように人事の部屋から出て口笛をピューと吹きながら△△君の傍らを通りかかると、「あ、織伊さん、少しいいですか?」 一呼吸置いて「ン?鈴木さんの話かい?」「ええ、そうです。はぁ?どうして知ってみえるんですか?」


・「俺が架けたんだよ」「え?織伊さんが橋渡しして下さったんですか?」「違うって、俺が今架けたんだ」「?????」 頭脳明晰な△△君も暫し頭が大混乱!理解したあと1週間か10日ほど、私に口を利いてくれなかった。

・「何だか所長さんが支社に沢山来てますよ、会議じゃないんですか?」「ナ!?俺聞いてぇへんがな!」と堺の所長さんを阪神高速空疾走させたり、胃カメラ呑んだあとが苦しくて机にへたり込んで居る先輩に外から、「中央病院ですが大変申し訳ありません!先ほどの胃カメラ写ってませんでした。ホントに申し訳ありませんがもう一度呑みに来て戴けませんでしょうか?」と電話入れ飛び上がって怒らせたりと、大阪での【戯れ】は枚挙に暇が無い。


・関西人は皆、何となく愛嬌があって仕掛けの気が疼くのか、浪速の風土がそうさせるのか知らないが、私の〈戯術〉を存分に磨き上げてくれたことは確かである。(ただ、死んだ黒木は肥後人、△△氏は上州人であるが・・・)(了)

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