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「私たちは何を“取り戻す”のか」:【東京家族】試写会

2013年01月18日
(「私たちは何を“取り戻す”のか」:【東京家族】試写会)

Photo  

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130118/plc13011811220015-n1.htm

・先ずは本題である山田洋次監督の【東京家族】の話の前に、この作品がオマージュとしている小津安二郎監督の【東京物語】(1953年・松竹映画)の話をしなければならない。成長して多忙で、年老いた両親の上京を正直持て余す子供らの中で、次男の戦争未亡人役の原節子が、誠心誠意尽くしてくれて観客は涙する。

・特に戦後の狭い粗末なアパートの畳の上を歩く原節子は、小津安二郎監督独特のローアングルもあって、私ナンザ子供心に「この人は神か?」と思ったものである。wikiが丁寧にその「あらすじ」を書いてくれているので、そのままご紹介したい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E7%89%A9%E8%AA%9E

・「1953年の夏、尾道に暮らす周吉(笠智衆)とその妻のとみ(東山千栄子)が東京に旅行に出掛ける。東京に暮らす子供たちの家を久方振りに訪ねるのだ。しかし、長男の幸一(山村聡)も長女の志げ(杉村春子)も毎日仕事が忙しくて両親をかまってやれない。寂しい思いをする2人を慰めたのが、戦死した次男の妻の紀子だった。紀子はわざわざ仕事を休んで、2人を東京名所の観光に連れて行く」

・「両親の世話に困った幸一と志げは、2人を熱海の旅館に宿泊させる。しかし、その旅館は安価な若者向きの旅館で、2人は騒々しさになかなか眠れない。翌日、熱海から早々に帰って来た2人に対し、志げはいい顔をしない」

・「居づらくなった2人は志げの家を後にする。周吉は在京の旧友と久方振りに再会して酒を酌み交わし、とみは紀子の家に泊まる。ここでとみは、戦死した夫を忘れて再婚するよう、紀子に強く勧めるのだった。周吉は旧友に本音をぶちまけるほど泥酔する。深夜、泥酔状態のところをお巡りさんに保護されて、志げの家に帰ってきてしまう。そこで志げ夫婦の顰蹙を買う」

・「2人は、子供たちからはあまり温かく接してもらえなかったが、それでも満足した表情を見せて尾道へ帰った。ところが、両親が帰郷して数日もしないうちに、とみが危篤状態であるとの電報が子供たちの元に届いた。子供たちが尾道の実家に到着した翌日の未明に、とみは死去した。幸一と志げは悲しみつつも、間もなくさばさばした乾いた表情を見せる」

・「とみの葬儀が終わった後、志げは次女の京子に、とみの形見の品をよこすよう催促する。そして志げは、とみよりも周吉が先に死ぬのが望ましかったと主張し、幸一もそれに同調する。紀子以外の子供たちは、葬儀が終わるとそそくさと帰って行った。(末娘)京子(香川京子)は憤慨するが、紀子は歳を取れば誰でも自分の生活が一番大切になるものだといって義兄姉をかばい、若い京子を静かに諭す」

・「紀子が東京に帰る前に、周吉は上京した際の紀子の優しさに感謝を表す。そして紀子に再婚を勧める。ここで紀子は初めて、自分の苦悩を吐露する。独身を通す自分の将来の不安がぬぐえないことを打ち明け、涙を流す孤独な紀子に、周吉は妻の形見の時計を与える」・・・

・いやぁ、こうしてwikiから「あらすじ」を転載していても、モノクロームの美しい画面と笠智衆の飄々とした語りが蘇って、涙が溢れて来てしまう。写真はやっぱ、【東京物語】のアパートの場面(スチール用)としよう。

・さて本題である。山田洋次監督は大好きであるが、彼が時代を描く時、「赤旗の常連だ」ということを、私は多少割り引いて観ることにしている。【東京家族】は、記憶の中の【東京物語】と対比しながら楽しめるので、是非観てみたいものだ。

・MSN産経のhttpは、【東京家族】の試写のあと、「安倍首相は『日本を取り戻す』と公約しているが、一体何を取り戻すというのか?と語りかけている。その気持は分かるので最後に括るとして、先ずは記事を。

・「『この国はどこで間違ったのだろう』。東京の下町の居酒屋のカウンターに酔いつぶれそうになって、平山周吉役の橋爪功はつぶやく。山田洋次の監督50周年記念作品の『東京家族』のシーンである。(フジサンケイビジネスアイ)」

・「周吉は瀬戸内の島に住む元教師、妻と連れ添って東京の子供たちを訪ねる。学生時代の親友と酒を酌み交わしている周吉は、『医師の長男を持って幸せだ』と何度もいわれる。しかしながら、言葉はかみ合わない。『この国はもう立ち直れないのではないだろうか』」

・「終戦後の貧しい日本を知り、高度経済成長のなかで家庭を築いてきた老人の述懐である。同じ時代を生きてきた、父の世代、団塊の世代、それに続くわたしたちの世代の嘆きともいえるだろう」

・「同世代の安倍晋三首相は『日本を取り戻す』という公約を掲げて、再び印綬を帯びた。そして『アベノミクス』である。国土強靭(きょうじん)化計画はケインズ、通貨供給量の増加によるデフレ克服はマネタリスト、規制緩和や新産業の創造はシュムペーターであろうか。過去の経済理論を総動員したかのようだ」

・「東京株式市場はそのアベノミクスを囃(はや)すように、4日の大初会は活況となり11年ぶりの上げ幅となった。さらに、東証と大証が経営統合した日本取引所もこの日、東証1部に上場した。戦時統制下の昭和18(1943)年に東京株式取引所株(東株)が上場を廃止されて以来のことである」

・「戦争に突入する前まで、兜町と北浜は相場師たちが闊歩する資本市場のるつぼだった。獅子文六の原作で映画のシリーズとなった『大番』のなかで、牛ちゃんと呼ばれる主人公のあだ名は、強気の相場を英語で雄牛の『ブル』にたとえるところからきている」

・「『家族』の試写会を終えて、地下鉄で兜町を訪れる。遅い昼食となって、うなぎ屋に入る。縁起をかつぐこの町の人々は、ブルの相場と『うなぎのぼり』をかけてよく食べる。座敷は満員で、値の張る重箱を抱え込むようにしている」

・「兜町では金融記者として、87年のニューヨーク市場に端を発した大暴落も、89年末の時価総額590兆円からつるべ落としに下落する相場も、山一証券の倒産もみた。アベノミクスはいったいこれから、どのような幸せをもたらすのか。わたしたちは、なにを取り戻すのだろうか」

・「『家族』の主人公、周吉は、旅の途中で妻を亡くし、遺骨を抱えて島の実家に戻る。その葬儀を終えて、最後まで残ってくれた次男の恋人にこういう。『これから厳しい時代になると思いますが、息子と一緒にがんばって暮らしていってください。ありがとう』と」

・「批評家が多いであろう会場に、すすり泣きの気配が満ちた。経済理論を超えた地平にみえる時代の気分に安倍首相が目をこらすとき、アベノミクスに血が通う、と思いたい」・・・

・多分記者は、【ALWAYS三丁目の夕日】を観た時と同じ感慨を持ったのだろう。その感慨は、下の絵の通りだと言って過言ではない。絵は『だまし絵の本家=ペンローズの階段』である。

Photo_2

・そう、「永久に登り続けても決して高みに立てない階段」である。戦後の日本人は敗戦の灰塵の中から、ただひたすら豊かさを求めて階段を駆け上がった! そして惜しげも無く、むしろ古い柵(しがらみ)を捨てることが正義のように、このペンローズの階段の内堀に投げ入れて来たものが、今となれば「もう永遠に戻らない日本人の美徳だった」ことに、今更愕然としている。郷愁の名画:【ALWAYS 三丁目の夕日】に、人々が訳も無く涙したのは、そういう背景が有ると確信している。(因みに堀北真希の『六ちゃん』は、私と同年設定である)

・とは言え、日本にはもう停滞・沈滞は許されない。いくらゲンパツハンターイ!をサヨクと放射能ビビリーが訴えても、日本というダンプカーの走りは止められないのだ。日本人はその叡智で、「貧しかった頃の日本人の美徳」を映画やDVDや絵画、書物などで残し、記憶して行くしかないのである。

・毎度書くが、音楽家の坂本龍一が「たかが電気と、命を比べられるのか!」と大タワケを言ったが、①じゃぁエレキギターの演奏は止めろ!②シンセサイザーでの作曲は止めろ!になる。安倍ちゃんは「アベノミクス」で、「日本の経済基盤と躍動感を取り戻す!」と言っているのだ。それこそ坂本龍一であるが、「日本の経済発展と、古き良き時代への郷愁」を混ぜこぜに論じてはならない。

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