名脇役2人逝く
2010年5月9日
・渋い脇役(バイプレーヤー)として、特に昭和娯楽の代表と言ってもいい映画界で活躍した二人が、相次いで逝った。①北林谷栄98歳と、②佐藤 慶81歳の両氏である。共に主役を食う程の存在感が有った名優だった。
・北林谷栄は、名優・滝沢修や宇野重吉らと劇団民芸を支えた看板女優で、20代から老け役に取組んでいたという。私が彼女の演技に感動したのは、1959年高2の折、名画【キクとイサム】のおばぁさん役だった。名匠・今井 正監督が黒人混血児への差別と真向から取組んだ作品で、17歳で多感だった私は大変な感動を貰ったものだ。特に東北の山村で、差別を小柄な全身で受け止めて黒人混血児の孫二人を育てる北林おばぁさんと、大柄で活発なキク役の高橋エミの演技は今も心に残っている。
・先年のジブリ作品の傑作【となりのトトロ】では、行方不明になった妹のメイを必死で探す姉のサツキとおばぁさんが登場するが、そのおばぁさんの声が北林谷栄で、懐かしい思いがしたものだった。98歳といえば大往生と言えるだろう。
・一方の佐藤 慶、「ニヒル」の代名詞のような名優だった。大島 渚監督作品には欠かせない人で、何でも演じられる役者だった。バイプレーヤーとして貴重な存在ゆえ、黒木和雄、新藤兼人、今井 正、武智鉄二らの名監督も競って使った。特に悪逆非道・冷血な組長や総長役はハマリだった。こちらは81歳、今時では少し早い気もする。
・淋しいというより、お二方に心からの感謝を申し上げ、旅の恙無きことを祈りたい。
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